
床下エアコンは、住宅の基礎となる床下空間を活用し、家全体を効率よく暖める空調システムです。足元から心地よい暖かさを届けるだけでなく、省エネ性能にも優れており、光熱費を抑えながら快適な室温を保てます。
本記事では、床下エアコンの基礎知識や注意点、快適に使うためのポイントについて詳しく解説します。
目次
床下エアコンの基礎知識

床下エアコンは、住宅の床下空間に設置する空調システムです。床下からの空気の循環を利用することで、室内全体を均一に暖めることができます。また、従来のエアコンより直接的な風を感じにくい点が特徴です。
床下エアコンの仕組み
床下エアコンは、床下空間を利用して効率的に空気を循環させる仕組みです。具体的には、ヒートポンプ式(空気中の熱を集め、汲み上げて移動させる構造)の機械を使って暖かい空気を作り出し、床下全体に送り込みます。暖かい空気は、床下空間に広がり、床ガラリ(床に設けた吹き出し口)からゆっくりと室内へと放出されます。
冬場は足元からほんのりと暖かさを感じることができるため、床暖房のような効果を得られるでしょう。また、基礎内部を暖めることで蓄熱効果が期待でき、日中の暖房負荷を軽減する働きがあります。
床下エアコンと床暖房の違い
床下エアコンと床暖房はどちらも床を温める暖房方法ですが、その特徴には大きな違いがあります。
床暖房は床の下に温水や電気が通る配管を設置し、直接床面を温める仕組みです。足裏に伝わる温かさがダイレクトに感じられ、寒い日でも快適に過ごせます。しかし、長時間接していると低温やけどのリスクがあり、注意が必要です。また、暖かいのは床暖房を設置した部屋に限られるため、部屋ごとで温度差が生じやすいという課題があります。
一方で、床下エアコンは床下全体を暖め、さらにその暖かい空気を家全体に送る仕組みです。低温やけどの心配はほとんどなく、吹き出し口を設ければ家のどこでも暖かい空気が広がります。さらに、床暖房のような専用の配管工事が不要で、条件を満たせば既存の住宅でも導入することが可能です。床下エアコンは、快適性や省エネ効果を追求する現代の家庭に最適な選択肢のひとつといえるでしょう。
床下エアコンの注意点

床下エアコンは効率的な暖房システムですが、導入にあたっては注意すべきポイントがあります。設置後に後悔しないためにも、以下の点をしっかり理解しておきましょう。
冷房には不向き
床下エアコンは、基本的に冬の暖房として使用するのがおすすめです。夏場に冷房として頻繁に使用すると、床下に結露が発生するリスクが高まります。結露が続くと、湿気を好むカビが発生しやすくなり、床下環境が悪化してしまうかもしれません。
また、湿度が高い状態が続くと、カビだけでなくシロアリが繁殖しやすい環境になり、家の構造部分にダメージを与える恐れがあります。そのため、冷房が必要な時期は、他の冷房機器をメインに使うようにし、床下エアコンは暖房専用として考えることをおすすめします。
基礎断熱工法が必須
床下エアコンを導入する住宅では、「基礎断熱工法」が必須となります。基礎断熱工法は、住宅の基礎部分を断熱材で覆う工法です。建物の基礎そのものに断熱材を施工することで熱損失を抑えやすくなり、床下エアコンの暖房効果を最大限に発揮できます。
ただし、床下エアコンを使用する場合は、床下空間と室内で空気の行き来が発生するため、土台や大引に薬剤処理された木材を使用することができません。代わりに、人体に無害のもので防腐・防蟻処理をする必要があります。
関連記事:基礎断熱リフォームとは?床断熱との違いや費用相場を解説
断熱性・気密性の確保が必要
床下エアコンは、住宅の断熱性・気密性がしっかり確保されていないと、その性能を十分に発揮できません。
断熱性能においては、施工する地域で定められた省エネルギー基準から、さらにワンランク上の基準をクリアする必要があります。断熱性が高い住宅は、床下エアコンの暖気が外に逃げにくくなり、効率よく室内を暖められます。
気密性能においては、目安として相当隙間面積C値=1.0(cm2/m2)以下を確保することが求められます。気密性能が高い住宅であれば、少ないエネルギーで室内全体が温まり、光熱費の節約につながるでしょう。
このように、床下エアコンは設置するだけではなく、住宅の断熱性・気密性を考慮して導入する必要があります。
床下エアコンを快適に使うためのポイント

床下エアコンを最大限に活用するには、事前準備や日常生活での工夫が重要です。ここでは、快適さを維持しながら効率よく運転するための具体的なポイントを紹介します。
あらかじめ暖房の試運転をしておく
床下エアコンは、暖房をつけ始めた直後に部屋全体がすぐ暖かくなるわけではありません。空気の対流を利用して徐々に温度を均一にする仕組みのため、部屋全体が安定して暖まるまでに1週間ほどかかる場合があります。
たとえば、12月の本格的な寒さが訪れる前に、11月中旬から試運転を開始しておけば、床下の暖気が十分に蓄えられ、家全体が快適な状態で冬を迎えられます。特に冷え込みが厳しい地域では、暖房を早めにスタートさせることで、寒さによるストレスを軽減できるでしょう。
冬の暖房負荷を下げる工夫をする
厳しい寒さになる冬場は床下エアコンに頼り切るのではなく、暖房負荷を減らす工夫を取り入れると、さらに快適で経済的な暖かさが得られます。工夫のひとつとして挙げられるのが、窓からの自然な日射を積極的に活用する方法です。
日中はカーテンを開けて太陽の光を室内に取り込み、自然の暖かさを活用しましょう。南向きの窓がある家では、太陽光が床面や壁を暖め、床下エアコンの負担を軽減します。このような取り組みによって、暖かさが得られるだけでなく光熱費の節約にもつながり、一石二鳥の効果が期待できます。
太陽光発電を利用する
床下エアコンを快適に使うためには、太陽光発電の導入がおすすめです。床下エアコンは24時間連続運転が推奨されており、電気代が気になる方は多いのではないでしょうか。電気代が高いから暖房運転をしないという選択肢はありますが、太陽光発電を取り入れれば自宅で発電した電力を暖房に活用でき、コストを抑えられます。余った電力は売電できるので、家計への負担軽減だけでなく、環境への配慮にもつながるでしょう。
関連記事:床下エアコンで後悔した理由とは?床下エアコンのメリットと失敗しないためのポイント
旭ホームズの床下エアコン施工事例

安全持続性能評価で★★★を獲得した、旭ホームズの床下エアコン施工事例を紹介します。室内は間仕切りを最小限に抑えた大空間の間取りで、家族が自然に集い、つながりを感じられる設計です。また、心地よい段差を取り入れることで、視覚的な変化と居心地の良さを両立させています。
都市部での建築ながら、敷地の特性を活かし、光や景色を取り込む工夫が随所に施されています。周囲の視線を適度に遮りながらも太陽光を効率的に取り込むパッシブ設計を採用し、都市ならではの課題に応えた住まいです。
さらにリビングの東側にはオープン階段と吹き抜けを配置し、空調の効率を向上させる設計を採用。床下エアコンを活用することにより、各季節でメインの1台のエアコンを使用して全館空調を行うお家です。効率的な空調システムにより、エネルギーコストを抑えながら快適な暮らしを提供しています。
広島で新築・リフォームをするなら旭ホームズへ

木の家が持つ素材や素地を生かし、その土地の持つ要素を生かして設計し、末永く素晴らしい暮らしができる家作り。それが旭ホームズのこだわりです。
広島近郊で、高断熱・高気密な注文住宅をお考えの方や、性能向上リノベーションを検討されている方は、ぜひ一度、旭ホームズのモデルハウスへお立ち寄りください。
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