今回は「住宅の断熱効果」について、高断熱のメリットや注意すべき点、断熱性能を向上させるポイントを解説しています。また、断熱施工以外で省エネな住まいを実現する方法もご紹介しています。
私たち旭ホームズの施工事例やシミュレーション事例、断熱等性能等級とコストパフォーマンスの関係にも触れていますので、新築や建て替え、断熱リフォームを検討されている方はぜひ参考にご覧ください。
目次
住宅の断熱効果とメリット
断熱効果とは住宅に断熱施工などを行うことで得られる断熱性能を指します。
高断熱住宅のメリットとして話題に上がる「光熱費の節約」「快適性」「結露やカビの発生抑制」「健康被害のリスク低減」について、旭ホームズがお客様にお伝えしている考えをご紹介していきます。
光熱費の節約について
断熱効果が高いことで得られる最も重要なメリットの1つが、光熱費の節約につながる点です。
断熱効果が高い家は、保温性が高い水筒のように、室内で温められた空気・冷やされた空気が外に逃げにくく、また外からの熱気や冷気も侵入しにくいため、少ないエネルギーで冷暖房が効くのです。
暮らしの快適性向上について
エアコンの設定温度を1℃変えるだけで、消費電力が10〜13%も変わると言われています。
かと言って、暑さ・寒さを我慢していると、夏は熱中症、冬は呼吸器疾患や血管の病気などを発生するリスクが上昇し大変危険です。
その点、断熱効果が高い家は最低限のエネルギーで室内温度がキープできるので、暑い時・寒い時に我慢せず暖冷房することができます。
結露やカビの発生抑制について
断熱効果を高めるメリットに「換気が計画的に行われるので結露やカビが発生しにくくなる」という意見がありますが、確かに高い断熱性を実現するには気密性もとても重要で、気密性を確保するには換気設備を設置して空気の流れをコントロールする必要があります。これを「計画換気」といいます。
ただ、計画換気は断熱効果を高めるためだけに行うのではなく、そもそも法律で24時間換気システムの設置が義務化されており(※改正建築基準法施工/2003年〜)、また、この法律の目的は断熱性能に付随したものではなく、シックハウス対策を目的としたものとなっています。
つまり、結露やカビの発生を防ぐために断熱効果を高めるのではなく、断熱性や気密性を向上させた結果として結露が防止できるという見方になります。逆に、断熱の施工品質が低いと、かえって結露やカビの発生原因となるので、「断熱施工すれば結露やカビが発生する心配はない」と考えず、工務店やハウスメーカーを検討する際は、実際の測定値を見せてもらうなど施工品質もチェックしたいところです。
※参考:改正建築基準法|国土交通省
ヒートショックのリスク低減について
さらに、断熱効果のメリットとして「ヒートショックの発生リスクを下げることができる」という意見もあります。
断熱効果が高いと室内の温度差が最小限に抑えられるため、ヒートショックの発生リスクを下げることは可能です。しかし注意点として、断熱性能そのものが住まう人の健康状態を良くしたり治療したりといった効果を発揮する訳ではありません。
これらの理由から、断熱性能を高める効果としては、シンプルに省エネルギーや快適性に貢献するものと考えて良いでしょう。
断熱効果を高める家づくりのポイント
次に、断熱効果を高める家づくりのポイントをご紹介していきます。
ポイント①:外皮の断熱性能を向上させる
外皮とは屋根・外壁・床・開口部などの建物の外と中を隔てる境界を指します。
断熱性能は「外から中に入ってくる熱」と「中から外へ逃げていく熱」を断つ能力ですので、外皮の断熱性能を高めることが重要なポイントとなり、特に窓や玄関といった開口部の断熱対策は非常に大切です。
具体的な対策としては、断熱材を入れる(断熱施工)複層窓や樹脂サッシにする、断熱性能の高い玄関ドアを採用するなどの方法を取ります。
なお、断熱性の客観的な評価の方法については、断熱等性能等級やHEAT20などの評価基準で判断され、旭ホームズでは国が推奨している等級より1〜2ランク上の「断熱等性能等級6、HEAT20のG2(6地域/UA0.46)」レベルを標準としています。
また、断熱性能の評価基準や評価方法は「【断熱性の基準】断熱等性能等級とは?HEAT20やZEHとの違いなど」で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
ポイント②:熱橋を無くす
断熱をする方法として、熱橋(ねっきょう)を無くすという工夫があります。
熱橋とはその名の通り熱の橋渡しとなる部分のことで、「ヒートブリッジ」とも呼ばれています。熱は温度が高い方から低い方へと移動する性質があるので、熱橋となる部分があると、冬場は室内で暖まった空気が熱橋を伝って外に逃げてしまい、夏場は室外の暑い熱が熱橋を伝って室内に侵入してしまいます。
そのため、断熱性能を上げるには熱の橋渡しとなる部分をできるだけ少なくする取り組みが必要なのです。
基本的に断熱施工が施されていない場所は熱橋となり得るのですが、特に熱橋になりやすいものは大きく2つあり、1つは鉄骨やボルトといった金属、もう1つは梁や柱といった木質建材です。さらに、断熱材の途切れた場所も熱橋になりやすい場所です。
具体的な対策としては、熱橋となり得る部分を断熱材で覆うなど、断熱施工されていない場所を減らす方法や、付加断熱などで断熱材の切れ目ができないようにする方法があります。
熱橋は断熱効果を下げる要因となるだけでなく、結露を引き起こす原因にもなるので、住宅を長持ちさせるために欠かせないポイントの一つだと言えるでしょう。
ポイント③:気密性を高める
断熱材をいくら厚く施工しても、その間に隙間があっては断熱効果が薄れてしまいます。また、隙間があると計画的な換気が難しくなる可能性や、予期せぬ隙間から漏気する恐れもあり、結果として壁体内に結露を起こすリスクが上昇してしまいます。
気密性を高めるには、しっかりと気密施工を行うこと。特に断熱リフォームの際は、壁体内の気流を遮断する「気流止め」という部材を施工し、気密シートやウレタン充填を徹底して行うのがポイントです。
なお、気密性を客観的に評価する方法として、C値という評価値があります。建物の隙間(c㎡)を外皮全体の面積(㎡)で割って、1平方メートルあたりの隙間の平均を算出したものです。
旭ホームズは主に広島地域の住宅を専門としていますが、北海道や東方地域で求められる気密性能「2.0c㎡/㎡以下」となるように設計を行っています(実測値は平均0.3〜0.7c㎡/㎡)。
気密性能については「気密性能の重要性とは?」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
↓気密測定の様子
断熱施工以外で省エネな住まいを実現する方法
断熱効果を高めつつ予算内におさめるには、断熱施工以外でも省エネな住まいを実現する工夫が必要です。その代表的な取り組みとして「日射遮蔽(しゃへい)」「日射取得」「太陽光発電の導入」があります。
夏場は日射遮蔽で熱の侵入を防ぐ
日射遮蔽とは、太陽から熱が室内に侵入するのを防ぐことです。建物の断熱性能を上げることも大切ですが、特に夏場は日射を遮る対策がとにかく重要となります。
これから新築やリフォームを検討しているのであれば、光が反射しやすい仕上げ材を採用する・庇(ひさし)を取り付ける・窓ガラスを日射遮蔽型のものにするなどがおすすめです。また今すぐできる対策としては、窓付近に植物を植えて緑のカーテンを作る・すだれをかける・遮熱効果の高いレースカーテンをつけるといった対策も良いでしょう。
冬場は日射取得で熱を取り入れる
日射取得とは太陽からの熱を室内に取り入れることです。夏場は日射熱を遮蔽することが重要ですが、冬場は反対に日射熱を取り入れて室内を温めることが理想となります。
冬は夏よりも太陽の高度が下がるので、日射取得においては、冬の太陽高度に合わせて室内の奥深くまで届く窓を設置するのがポイントです。また、取得した日射熱を最大限利用できるように、蓄熱効果が高い土間を1階部分に取り入れるなどの方法もあります。
日射遮熱と日射取得は相反する考えですので、日射遮蔽に寄りすぎると冬場は寒く、反対に日射取得に寄りすぎると夏場は暑くなってしまいます。そのため、1年を通した太陽の動きをシミュレーションし、遮蔽と取得を両立していきます。
そして、このように自然のエネルギーを利用して省エネルギーな暮らしを実現する取り組みを「パッシブデザイン」といい、旭ホームズでも家づくりにおいて大切にしている考えの一つです。
実際のシミュレーションを「パッシブデザイン採光」にてご紹介していますのでぜひご覧ください。
太陽光発電などを導入する
省エネ対策は、エネルギーを極力使わないという選択肢の他に、エネルギーそのものを自分たちで創る「創エネ」という選択もあります。この最も一般的な方法が、徐々に普及が広がっている太陽光発電です。
太陽光発電とは、日射熱をエネルギーとして発電するシステムのこと。“暮らしに必要なエネルギーは電力会社から購入するもの”という考えが根強いですが、自宅に太陽光発電を設置すれば電気代の節約になるだけでなく、余った電気エネルギーを電力会社に買い取ってもらうこともできます。
このような、太陽光発電などでエネルギーを自給自足し、創り出すエネルギーと消費するエネルギーのバランスをゼロにすることを目標とした住宅を「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス/ゼッチ)」や「ZEH住宅」といい、日本では、2030年において新築戸建住宅の6割で太陽光発電が設置された状態を目指しています。
旭ホームズでもZEH住宅に積極的に取り組んでいます。施工事例については「ZEH ゼロエネルギーハウス」をご覧ください。
参考:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について|経済産業省資源エネルギー庁
断熱効果は高ければ高い方が良い?等級とコスパの関係
円安や情勢悪化などの影響で、エネルギーの価格が急激に高騰しています。そのため、35年以上住むことを考えるのであれば、断熱効果が高い方がコストパフォーマンスも高くなります。
しかし、デザイン性や他の設備を重視して断熱性能をあきらめる方がおられます。ただ、プランの工夫次第で意匠と両立しながら断熱効果のアップを目指すことは可能ですし、日射遮蔽・日射取得・太陽光発電の設置などで省エネルギーも実現できます。
旭ホームズでは、断熱等性能等級6・HEAT20のG2レベルを標準の仕様としていますが、それ以上の断熱性能についても、建築場所やコストに応じてご提案が可能です。まずはモデルハウスにて、旭ホームズの高断熱・高気密な住まいをご体感ください。
広島で新築・リフォームをするなら旭ホームズへ
木の家が持つ素材や素地を生かし、その土地の持つ要素を生かして設計し、末永く素晴らしい暮らしができる家作り。それが旭ホームズのこだわりです。
広島近郊で、高断熱・高気密な注文住宅をお考えの方や、性能向上リノベーションを検討されている方は、ぜひ一度、旭ホームズのモデルハウスへお立ち寄りください。
所在地 | 〒731-5101広島県広島市佐伯区五月が丘2丁目8 |
定休日 | 日・祝・水 ※事前のご予約があればご見学はいつでも可能です。 ※お休みの3日前までのご予約をお願いいたします。 |