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住宅の防犯対策で押さえるべき3つのポイント
― “侵入されにくい家”をつくる設計と運用の視点 ―
住宅の性能というと、断熱性・気密性・耐震性に注目が集まりがちですが、「防犯性」も住まいの基本性能の一つです。どれだけ高性能な住宅であっても、安心して暮らせなければ本当の意味で快適とは言えません。
警察庁の統計でも、侵入窃盗の多くは戸建住宅で発生しており、特に“無施錠”“窓からの侵入”が大きな割合を占めています。つまり、防犯は特別な設備だけでなく、設計と日常の意識で大きく改善できる分野です。
ここでは、住宅防犯の基本を3つのポイントに整理します。
① 侵入経路を物理的に強化する ―「窓」と「開口部」の対策
侵入窃盗の約6割以上は窓からといわれています。特に1階の掃き出し窓や勝手口は狙われやすい部位です。
防犯対策の第一歩は、侵入に時間がかかる構造にすることです。空き巣は侵入に5分以上かかると約7割が諦めるというデータがあります。
具体的な対策は以下の通りです。
- 防犯合わせガラスの採用
- 補助錠の設置(二重ロック)
- シャッターや雨戸の設置
- 面格子の適切な配置
- 勝手口ドアの防犯仕様化
防犯合わせガラスは、2枚のガラスの間に強靭な中間膜を挟み込んだ構造で、破壊に時間がかかります。近年の高性能住宅では樹脂サッシ+Low-E複層ガラスが標準化していますが、防犯性能は断熱性能とは別の視点で確認する必要があります。
また、施錠の徹底は最も基本的かつ効果的な対策です。短時間の外出でも必ず鍵をかける習慣が重要です。
② 「見せない」「隠れさせない」外構計画
防犯は建物単体ではなく、敷地全体で考えるべきです。
侵入者は「人目につきにくい家」を選びます。つまり、視認性の確保が重要です。
外構計画で意識すべきポイントは次の通りです。
- 高すぎる塀やフェンスを避ける
- 道路からの見通しを確保する
- 死角になる場所を減らす
- センサーライトを設置する
- 砂利敷きで足音を発生させる
防犯カメラの設置も効果的ですが、実は「カメラがあると分かること」自体が抑止力になります。ダミーではなく、録画機能付きの機器を設置することで実効性が高まります。
また、植栽の計画も重要です。生垣や樹木が窓を完全に隠してしまうと、侵入者にとって好条件になります。景観と防犯のバランスを取る設計が求められます。
③ 生活パターンを読ませない工夫
侵入者は事前に下見をするケースが少なくありません。
・不在時間が長い
・夜間に常に真っ暗
・郵便物が溜まっている
こうした状態は「留守」を示すサインになります。
対策として有効なのは以下です。
- タイマー式照明の活用
- スマート照明による遠隔操作
- 郵便物の管理
- 近隣とのコミュニケーション
最近ではIoT機器の普及により、スマートフォンから照明やカメラを確認できるシステムも一般的になっています。完全な無人状態を“演出しない”ことがポイントです。
また、地域とのつながりも防犯の一部です。日頃から近隣と挨拶を交わしている環境は、犯罪抑止力が高いといわれています。コミュニティの目は強力なセキュリティになります。
防犯は「特別な設備」より「総合設計」
防犯対策というと、高額なセキュリティシステムを想像するかもしれません。しかし実際には、
- 侵入に時間をかけさせる
- 見られている状況をつくる
- 不在を悟らせない
この3つを徹底することが基本です。
断熱や耐震と同様に、防犯も“設計段階”で考えておくことで、後付けよりも合理的で効果的な対策が可能になります。
安心は目に見えにくい性能ですが、暮らしの質に直結する重要な要素です。
住宅性能を考える際は、「快適性」「耐震性」「省エネ性」だけでなく、「防犯性」も含めた総合的な住まいづくりを検討してみてください。
それが、長く安心して住み続けられる家の条件です。







